扇久保博正という生き方

2021年のバンタム級グランプリ、全試合をフルマークの判定勝ちというMMAファイターとしての底力を見せて優勝した扇久保選手!

試合に大きな派手さはないけれど、結果を出すための正しい努力と、自分を信じてやるべきことを貫く姿勢。

最高にカッコいいです!

『打投極』全てのバランスが極めて高いレベルで完成されている彼は勝率も高く、誰が見ても文句なしの実力者でありますが、戦績以上に凄いのは
いくつもの挫折を乗り越えてきたこと!

グラウンドコントロールで試合を制する内容は〝塩試合〟などと言われることもありますが、そんなこと言わず彼の生き様を知ってもっと沢山の人に応援してもらいたいです。

目次

デビューからタイトル獲得まで

扇久保選手はデビューしてから引き分けを挟んで6連勝と、破竹の勢いでタイトル戦線に絡む場所まで辿り着きます!

ところが、修斗環太平洋フェザー級タイトルマッチでは痛恨のノックアウト負け。(プロ初黒星)

初黒星しかも自身初のKO負けを挽回すべく挑んだ次戦では、強豪エドゥアルド・ダンタス選手に1本負け。

扇久保選手自身がYoutubeチャンネルで過去の強豪ベスト5にも挙げている選手です。

怒涛の勢いからの2連敗、しかもKO負けと1本負けの連続。

かなり精神的にも辛かったと思いますし、ここで心が折れてしまったりズルズルと負けが増えてしまう選手も多いですが、不屈の精神で復活します!

連敗からの復帰戦を勝利で飾ると、前回敗戦した修斗環太平洋フェザー級タイトルマッチに2度目の挑戦をし、見事タイトルを獲得。

タイトル防衛にも成功すると、勢いそのままに修斗世界フェザー級タイトルも獲得!

しかも世界タイトル戦はプロ初のKO負けを味わう経験をさせられた岡嵜選手へのリベンジという最高の試合。

栄光!

挫折を乗り越えてタイトルを獲得した扇久保選手ですが、この頃その背後には後のUFCファイターである〝あの男〟が迫ってきているのでした。

堀口恭司に完敗しタイトルを失うも、怒涛の7連勝!

日本格闘技界の四天王と私は勝手に名付けている堀口選手ですが、彼の強さと勢いは当時から国内で収まるレベルを遥かに超えており、2Rにチョークスリーパーで1本を取られて修斗の世界タイトルを失ってしまいます。

(ちなみに四天王:K1の武尊選手、キックの那須川選手、ボクシングの井上尚弥選手、MMAの堀口選手)

この試合は内容的にも完敗、圧倒的な強者を前にして心が折れてしまってもおかしくない試合でした。

しかしながら過去に挫折を乗り越えて栄光を手にしている扇久保選手はここから更に強くなり復活!

怒涛の7連勝を記録します。

この連勝中には、
VTJという日本のMMAファイターが揃ったトーナメント優勝、
修斗の世界タイトルを再度獲得
という勝負どころを2つも手にするという快挙も含まれていますから、挫折からの大ジャンプ復活に天晴れです!

連勝中には大格闘技イベントのRIZINが始まり、UFCで大活躍をした堀口選手の参戦も決まります。

〝日本人最後の大物〟として参戦を期待されていた扇久保選手、ここからも挫折と復活劇が待っていました!

二度の大きな挫折、そしてまた復活!

再戦!堀口恭司!

RIZIN11では、かつて圧倒的な試合内容で完敗をした堀口選手とのリマッチを迎えます。

当時国内で無双状態、向かうところ敵なしでありKOを量産していた堀口選手を相手にどこまで成長した姿を見せることができるかがポイントでした。

結果としては、判定で堀口選手の圧勝ではありましたが、前回の1本負けから比較すると
大きく実力が近づいていたことは間違いありません。

当時の堀口選手を表現するとしたら、MMAファイターとして戦うまでもなく伝統派空手の打撃だけで相手を完封するといった試合ばかり。

対戦相手が誰であっても圧倒する、
MMAなのにMMAらしい展開にならない
それほど強かったです!

扇久保選手の何が凄かったのかって、堀口選手に対してMMAをしっかりとさせたところ。

打撃戦では圧倒され、組みやグラウンドでも差を付けられたものの、他の選手ではそもそもそういった総合力勝負のフィールドに引き入れることさえできていなかったことも事実。

日本人最後の大物として、前回から大きく成長した姿で、勇気を与えてくれる試合でした!

バンタム級トップ4の二人に勝利するも、朝倉海に惨敗

堀口選手に敗戦後、石渡伸太郎選手と元谷友貴選手というバンタム級でもトップクラスの選手と連戦します。

(石渡選手は2021年に引退を表明、個人的バンタム級ランキングには入っていないですが現役であれば超実力者)

元谷選手に対しては総合力勝負で僅差の判定勝利、石渡選手に対しては気持ちの強さを見せる根性の打撃戦を制して判定勝利。

MMAファイターとしてのトータルな成長と気持ちの強さの両方が見える試合ぶりで、タイトル獲得への期待も高まりました。

扇久保選手が愚直に実績を重ねている頃、RIZINでは事件が起きました!!

無敵の堀口恭司がまさかの敗戦、そして膝の故障による長期離脱、バンタム級王座空位

堀口選手に対してまさかのKOで勝利した〝革命のアウトサイダー〟朝倉海選手とのタイトルマッチ。

海選手は勢いがあるし、圧倒的なパンチ力があるものの、
総合力勝負では大きくアドバンテージがある
と私は見ていました。

しかし結果は、終始打撃戦に付き合い、一方的な展開で打ちのめされてKO負け。

悔しかったと思う。本当に本当にこの試合は悔いが残ったはず。

持ち味を出せずに敗れてしまったのだから。

なぜ、打撃戦を選択したのか?

扇久保博正という生き方は、こんなもんじゃないだろ?

また、大きく成長して復活するんでしょ?

という期待感と、

こんな負け方見たことない、というショック。

この後のトーナメントで、大どんでん返しがあることを、まだこの時は想像すらできませんでした。

安定の強さを見せて準決勝へ!

1回戦、かつて対戦して勝利している春日井〝寒天〟たけし選手と対戦。

総合力で大きく上回り文句なしの判定勝利!これは予想通り。

しかし1回戦では、
石渡選手に衝撃のKO勝利をした井上直樹選手と、鬼のパウンドでインパクトある勝ち方をした朝倉海選手が大きく注目され、扇久保選手の試合は低い注目度でした。

こういった注目度も悔しかったと思いますが『今に見てろよ!』という負けん気も静かに燃えていたことでしょう。

打撃戦を選択して敗戦したタイトルマッチとは違い、扇久保博正という生き様を魅せた1回戦、愚直に積み重ねてきた努力は決して裏切らないという強さをしっかりと見せつけた試合でした。

2回戦でも同じく総合力を大きく発揮、レスリングスキルに長けている大塚選手を圧倒し文句なしの判定勝ち!

途中打撃を効かされる場面もありましたが、そこからのリカバリーも強く、やっぱりトータルバランスでは本当に強いなと感じさせてくれる試合内容。

リングの上ではその人の人生が出ると言いますが、ピンチからの見事な持ち直しは愚直な努力の賜物ですね。

優勝候補2人を撃破して優勝!!優勝後の大勝負にも勝利!!

自身が契約を勝ち取れなかったUFCへの挑戦を、日本人史上最年少で勝ち取った井上直樹選手との準決勝。

1ラウンドを見ると、このまま井上直樹選手が圧倒的な強さで優勝するんじゃないかと感じてしまいました。

差があった。そんなラウンドではありましたが、扇久保選手は2ラウンドから驚異的な反撃に転じます!

『井上選手は勝ち急いできた』

『多分早く決着を付けたかったんじゃないか』

『バックを取られたときに呼吸がとても荒かった』

『次のラウンドからこれはイケる!と思った』

これは扇久保選手自身も発していますし、確かに井上選手が勝ち急いでいたこともスタミナを大きくロスしていたことも事実ですが、
冷静に逆転のチャンスを見極めた経験値が凄い!!

2ラウンドから一気に失速した井上選手をグラウンドコントロールで圧倒。

削って削って、何が何でも勝つ!!

絶対に優勝する!!

UFCには俺が行くべきだったんだという気迫!!

凄かったですし、この試合で扇久保選手に対する声援が今までにないくらい大きかったことはとても嬉しいものでした。

決勝戦はかつて打撃戦で惨敗した〝宿敵〟朝倉海選手へのリベンジマッチ。

試合開始前の表情から『勝ったな』と感じたのは私だけでしょうか。

向かい合ったときの表情。

気負いすぎることもなく、大きな緊張もなく、扇久保博正という生き方がそのまま顔に出ていた。

最後まで戦い抜くという覚悟と、優勝するんだという強い気持ちと、大切な人に対する感謝。

色々なものが入り混じった、心に響く表情。

表情からの予感そのままに、試合開始から終了まで終始生き方の集大成を見せ続けてくれました!

打撃戦に固執することもなく、タックルを意識させて相手のディフェンス意識を分散、練習量からくる圧倒的な組み力、反復練習で身につけてきたハイレベルなグラウンドコントロール!

テイクダウンを警戒するから、打撃も入る!

前回KOされた技、サッカーボールキックもお見舞い!

パンチに対しても怯むことなく、最後まで『自分のやるべきことをやる』試合を徹底。

完璧なリベンジ成功と、トーナメント優勝!!

長いトーナメントの終わり、過酷すぎる1日の終わり。

でも、扇久保選手はあと1試合残していましたね♪

ずっと近くで支えてくれていた彼女へのプロポーズという、人生の大勝負!

トーナメントだけでなく、人生の大勝負でも強さを見せてくれて、その生き方は多くの人に勇気を与えました。

何度挫折しても諦めない。

リマッチや再挑戦での強さ。

愚直な努力が実を結んだ2021年の大晦日、彼はこの日一番のスターになった!

2022年、トーナメント優勝という栄光と最愛の妻という両方を手にした男が見せる新たな生き方。

扇久保博正から、今後も目が離せない!!

堀口恭司選手に3度目の対戦表明

優勝後のコメントでは、喜びと同時にこう発言していました。

『まだ、堀口選手がいるんで』

『絶対にもう一度、堀口恭司とやる』

現実的には、ベラトールグランプリへの参戦を表明している堀口選手とすぐに試合をすることは難しい。

難しいけれど、リマッチや再挑戦での強さは生き様として見せてきた部分であり、男の意地。

唯一の連敗、完敗を喫している堀口選手への3度目の挑戦!

最後まで諦めない強さの生き方に、最愛の妻という武器が加わって一層強くなった男と、国内で敵なし状態のMMA版メジャーリーガー!

できれば早い段階でこの試合を実現させてほしい。

お互いのピークが過ぎる前に、最高の舞台で実現することを期待しています。

3度目の正直か!?

最強のメジャーリーガーか!?

どちらも好きな選手なので複雑な気持ちですが、両者に対して最大のエールを送りたい!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1990年代のPRIDE・K-1全盛期からずっと格闘技の大ファンを続けているビジネスマンです!
自身も空手やキックボクシングを経験したこともあり、格闘技から学んだことを仕事に活かしつつ日々奮闘している次第です。
格闘技に関することを楽しく、そして選手へのリスペクトを込めて書いていきたいと思います!

目次
閉じる